連載

編集長コツキが綴る

「月の裏から」

産育食の未来のことから、
ささやかな身辺記にいたるまで。
巡りめぐる月とともに、心に行き来するあれこれ。
海と山にはさまれた神戸の街からお届けします。

深緑と黄緑と

先日、電車の窓から一面に田んぼの稲を見渡す機会がありました。緑色の稲を見ながら、あ~、そうだったなあ~と、小学校4年生の夏を思い出しました。小学生の僕は庭で稲作をしようと思い立ちました。おそらく社会科で稲作の1年の流れについての授業があったんだと思います。で、一人でやってみよう、と。

冬、ここから始まります。土を掘り起こしてプールのような窪みを作り、水を張ったときに漏れないように粘土質の土を持ってきて周囲を固め、枯れ草と落ち葉を集めてスコップで砕き、土と混ぜて埋める。またしばらくしたら掘り返して枯草を足して、、、40㎝×70㎝程度の田んぼの準備を黙々と。

春、田植えの時期。
まず、水を張ってみる。よし、漏れない。ちゃんと水が溜まった状態になりました。もらってきた苗で田植えを完了。ところが、田んぼがあまりに小さかったので、苗が余ってしまいました。そこで、急遽横に新たな田んぼを作ることに。ほぼ同じ大きさの田んぼが二つ。なかなか壮観(だったような、、、)。

夏、稲は日に日に順調に育ってきました。
でも、違いは明らかでした。
「色が違う、、、」
冬から準備をした田んぼの稲は深い緑。急ごしらえの田んぼの稲は黄緑色。
子ども心にちょっと複雑な感じだったのを記憶しています。深緑の稲を見るとやっぱり準備した甲斐があったなあと思う一方、黄緑の稲には急ごしらえでなんだか申し訳ないような、、、

秋、台風がやってきて見事になぎ倒された後に復活するハリウッド映画のようなお決まりクライマックスを経て無事、稲は実をみのらせました。
やはり違いは歴然。
ぐっと頭をもたげるほど実った稲穂と、手にのせた感じも軽い稲穂と。
達成感と後ろめたさと。

何事も準備が大事。そして、小学生にしてやっつけ仕事のやるせなさも味わう。

大人になって学習体験が活かせているような、そうでもないような。
車窓からの風景は田んぼから街へ変わり、商談へ。
今日の仕事は深緑か黄緑か?
もちろん、深緑っすね。まあまあ。

今日は「月とみのり」を訪れていただき、どうもありがとうございます。
では、また、月の裏でお会いしましょう。

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