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授乳期の食生活のおはなし

いいおっぱいと産後の体調管理のために

授乳期の食生活のおはなし

気をつけたい食生活のポイント

いろいろな食品をバランスよく食べましょう

これさえ食べれば母乳にいいという食べ物はありません。赤ちゃんを健やかに育てる母乳にはさまざまな栄養素が必要です。バランスのよい食事は、母乳育児かそうでないかを問わず、おかあさんの十分な体力や心のゆとりの源でもあります。母乳の質を気にして、肉や魚を摂らず野菜中心の偏った食事を続けるおかあさんも見受けられるようです。野菜をたっぷり摂るのはよいことですが、肉類、魚介類など動物性食品を長期間食べていない場合、ビタミンB12やビタミンDが不足し、母乳や赤ちゃんの成長に影響をおよぼすことも考えられますので、バランスのとれた食生活を心がけましょう。

水分を十分に摂りましょう

母乳の約90%は水分です。水分補給をこまめにしましょう。
清涼飲料水は製品によっては糖分やカフェインを多く含むものもあり、飲む場合は適度な量を心がけましょう。
食事でも、味噌汁、けんちん汁などの汁もの、スープやシチューなどの煮込み料理を多く取り入れるとよいでしょう。

とくに重要な栄養素を知っておきましょう

おかあさんの毎日の元気に必要な栄養素や、母乳の成分に欠かせない栄養素など、まずは知ることから始めましょう。

どうなってるの?母体から母乳へ栄養が移行するメカニズム

赤ちゃんの成長に必要な、さまざまな栄養素が含まれている母乳。
その栄養素は、下記のように大きく3つに分けることができます。

1. 食事内容に影響を受ける栄養素

EPAやDHAといった、母乳に含まれる必須脂肪酸はおかあさんの食事からしか得られません。
とくにDHAは神経系の発達にかかわるため重要です。DHAを多く含む魚介類を積極的に食べて、母乳のDHAを増加させ、維持することを意識しましょう。

  • 脂質 EPA、DHA 等の必須脂肪酸など
  • ビタミンA、ビタミンE、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC など

2. 体内の貯蔵量に影響を受ける栄養素

葉酸、ビタミンDが挙げられます。体内の蓄えが少なくなれば、母乳へ移行する量も下がるとされています。葉酸は体内での貯蔵が不安定なため、日々の食事で補うことが大事です。また、ビタミンDが不足気味のおかあさんが増えているといわれています。ビタミンDを多く含む食品を中心にバランスよく食べ、栄養状態を整えましょう。

  • 葉酸
  • ビタミンD
  • 脂質

3. 食事内容や貯蔵量にかかわらず一定な栄養素

おかあさんの食事や貯蔵量に大きく左右されることなく、一定の範囲内を保って母乳に含まれる栄養素があります。その一つが鉄です。鉄はおかあさんの血液から母乳へ優先的に移行しています。つまり、おかあさんが必要な量の鉄を摂っていない場合は、体内に貯蔵されていた鉄が消費されるため、貧血になることも多いのです。
貧血は、疲れやすさやめまい、息切れ、集中力の低下、イライラなど、トラブルの原因となります。
赤ちゃんの成長にはおかあさん自身の元気も大切です。母乳の栄養には影響しなくとも、鉄の摂取は重要と言えます。

  • カルシウム
  • ビタミンB12
  • タンパク質
  • マグネシウム
  • 亜鉛

授乳期にとくに必要な栄養素

赤ちゃんの骨や歯のもとカルシウム

赤ちゃんの骨や歯を作ります。母体のカルシウムが母乳へ移行するため、一時的におかあさんの骨量(骨全体に含まれるカルシウムなどのミネラルの量)が減少しますが、離乳後約6ヶ月間で元の状態に回復するとされています。授乳中はカルシウムの代謝が特殊な状態にあるため、特別に多く摂る必要はないとされています。しかし、普段の食事ではカルシウムの必要量を満たしていない女性も多いため、意識して摂ることが必要です。

多く含まれる食品
プロセスチーズ・牛乳・しらす干し・切干し大根・小松菜囲み枠

カルシウムの吸収にかかわるビタミンD

カルシウムの吸収、骨の形成にかかわり、免疫や細胞分化にも重要な役割を果たします。ビタミンDは主に魚介類に多く含まれており、これらの食品から摂取できます。また、日光に当たることによって、ビタミンDは皮膚で合成されます。最近、ビタミンDが不足気味の妊産婦が増えているといわれています。魚介類を食べる量が減っていることと、日焼けを嫌い日光を避ける習慣が影響しているとされています。ビタミンDの不足は赤ちゃんの病気に至ることもあり、授乳中は意識して摂りたい栄養素といえます。

多く含まれる食品
ビタミンD/さけ・さば・いわしの丸干・干ししいたけ

赤ちゃんの発育と、産後の体調維持に欠かせない鉄

鉄は赤ちゃんの発育や体の機能を維持するために不可欠な栄養素です。授乳中はおかあさんの体から優先的に母乳へ移行するため、十分な鉄を摂っていないとおかあさん自身が貧血になることもあります。

多く含まれる食品

 かつお・牛赤身肉・ほうれん草・大豆製品・ひじき

赤ちゃんの神経系の発達と成長にEPA、DHA

乳幼児の神経系の発達に重要な役割を持ちます。
これらを豊富に含む魚介類を食卓に取り入れる工夫をしましょう。魚介類はEPA、DHAだけでなく、カルシウム、鉄、ビタミンD、ビタミンB12などをたくさん含むものもあります。妊娠、授乳期をきっかけに、魚料理の割合を少し増やしてみましょう。

多く含まれる食品
いわし・さば・ぶり・さけ

注意が必要な食べ物、成分

たばこ

たばこに含まれるニコチンは母乳分泌にかかわるホルモンに作用し、母乳量が減ってしまうことが知られています。
またニコチンは母乳にも移行し、赤ちゃんの発育に影響を与えます。喫煙後の母乳におけるニコチン濃度は、母体の血液中の濃度の約1.5~3倍になるといわれています。
おかあさんが禁煙することはもちろんですが、受動喫煙のリスクをなくすために周囲の方も注意が必要です。

アルコール

アルコールは母乳に移行し、母体の血液中の濃度とほぼ同じ濃度となることが知られています。アルコールは母乳の分泌量を減少させ、赤ちゃんの成長に影響を及ぼすとする報告もあります。

カフェイン

覚醒作用、興奮作用をもつカフェインは母乳にも移行し、赤ちゃんに不眠などの影響が出るとされています。1 日にコーヒー・紅茶1~2杯程度なら問題はないと思われます。十分な水分補給が必要な授乳中は、ノンカフェインの麦茶などを常備しておくといいでしょう。最近はでカフェインレスのコーヒー、紅茶も市販されていますので、好みにあうものを探してみるのもひとつの手です。

授乳期の食事の工夫

買い物の手間を省く作りおきや、
時短調理アイデアを取り入れましょう

この時期はとにかく赤ちゃんのお世話にかかりっきり。気づけばお母さんの食事は菓子パン1個という事態は避けたいですね。そこで、時間と手間をかけずにサッと調理する工夫をしてみましょう。「月とみのり」でもさまざまなアイデアを提案しています。

安全な冷凍食品、買い置き食品などを活用しましょう

きちんとした食事を全部手作りしようとがんばりすぎて、ストレスになってしまっては逆効果。時には安全な冷凍食品やお惣菜、缶詰、レトルト食品などお助けアイテムの力を借りるのも手です。内容や素材、調味料などをしっかり見て、自分と赤ちゃんにとってよいものを選びましょう。

パートナー、家族に協力してもらいましょう

妊娠、授乳期の食事を工夫することは、その後の家族の健康な食生活に役立ちます。
工夫するのはお母さん一人だけではありません。家族のみらいをつくる食を、パートナーや家族みんなで考えてみましょう。