【産育食ラボ】妊娠中に食べる野菜や果物の量が、生まれる子どもの行動に影響するってホ ント!?~最新の研究から~

月とみのりアンテナ

産育食ラボからレポートです。つわりも終わって一安心。きちんと食事ができるようになると、お腹の赤ちゃんのためにどんなものを食べればいいか、気になりはじめることでしょう。この度、愛媛大学が中心となって行った研究によると、妊娠中の野菜や果物の量が、生まれた子どもの行動と関係することが明らかになりました。今回は、この研究を詳しくご紹介します。

【5歳児の行動に妊娠中の食べ物が影響しているかを調査】

野菜や果物が健康にいいことは明らかですが、妊婦さん、そして生まれてくる赤ちゃんにどのような影響があるのかについて、今まで詳しい調査はありませんでした。

この度、愛媛大学、東京大学、琉球大学の合同チームは、妊婦さんと生まれた赤ちゃんを長期にわたって追跡調査した「九州・沖縄母子保健研究」のデータから、野菜や果物の摂取量が、生まれてくる赤ちゃんの行動にどうような影響を与えるかを調べました。

妊娠5週から39週の妊婦さんに協力してもらい、質問票に自分で答える形で計8回の調査が行われました。妊娠中、出産後、出産4カ月後、1年後から5年後まで、毎年、調査を行いました。

質問では食べ物や飲み物を8つに分類し、どのようなものをどれくらいの頻度で摂取しているかについて答えてもらいました。さらに、アルコールや喫煙についての質問も行いました。第8回目の調査では、5歳になったお子さんの行動に関する質問にも答えてもらいました。最終的に1199人のお母さんから回答が得られました。

解析の結果、妊娠中の野菜や果物の摂取量と、生まれた子どもの行動には相関があることが明らかになりました。

【妊娠中のビタミンC摂取量が子どもの問題行動と関係している!?】

5歳になったお子さんについて、「友達とうまく関係性が築けない」、「多動問題(落ち着きがない)」、「向社会的行動(他人を気遣うなどの行動)が見られない」などの問題行動の傾向と、お母さんの妊娠中の食べ物との関係を解析しました。

その結果、妊娠中の野菜の摂取量が少ないお母さんほど、お子さんに「向社会的行動(他人を気遣うなどの行動)が見られない」と回答する割合が多いことがわかりました。
とくに緑黄色野菜の摂取量が少ないほど、お子さんの「向社会的行動(他人を気遣うなどの行動)」に問題があると答える割合が多くなることもわかりました。
しかし、妊娠中の野菜の摂取量は、お子さんの感情や友達との関係性には影響がありませんでした。

また、妊娠中の果物の摂取量は生まれたお子さんの行動と関連があり、食べた量が少ない人ほど、お子さんに多動問題があることがわかりました。中でも、リンゴを食べる量が少ない人では、お子さんに多動問題が多くなる傾向がありました。

また、レモンやミカン、オレンジなど、かんきつ類をたくさん食べていた人のお子さんでは、感情や行動の問題、多動問題、向社会的行動に関する問題が少ないことがわかりました。ただし、友達との関係性には影響がありませんでした。

以上の結果から、妊娠中にお母さんが食べる野菜と果物の量は、生まれてきたお子さんの行動に影響を与える可能性があることが示されました。

【妊娠中は活性酸素が増加しやすい! 日ごろから野菜や果物を食べる習慣を!】

妊娠中には活性酸素が増えやすくなるため、積極的に抗酸化作用をもつ食べ物を取り入れる必要があります。野菜や果物に多く含まれるビタミンCやビタミンE、カロチンには抗酸化力だけでなく、神経細胞を守る働きがあるとされています。

妊娠するとなにか特別なことをしなければと、サプリメントなどに過剰に頼りがちですが、どんな栄養素も体内で単独で働くわけではありません。大切なのは、さまざまな栄養素を含む食品をバランスよく摂取することです。今回ご紹介した研究からも、日ごろから野菜や果物を食べる習慣をつけることが、生まれてくる赤ちゃんにとって、とても重要だということがわかると思います。

ご紹介した論文
Maternal consumption of vegetables, fruit, and antioxidants during pregnancy and
risk for childhood behavioral problems.
Miyake Y et al. Nutrition. 2019 Aug 24;69:110572. doi: 10.1016/j.nut.2019.110572.

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