【産育食ラボ】赤ちゃんのO脚は「ビタミンD」不足のせいかもって、ホント!?

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産育食ラボからレポートです。どんな姿も可愛らしい赤ちゃん。でも、見れば見るほど気になる…なんて箇所があるのもありがちですね。

よちよち歩きを始めた赤ちゃんって、ホントにかわいいですよね。急に駆け出しては、勢いあまって転ぶこともしばしば…。お母さんにとっては、少しの間も目が離せないたいへんな時期でもあります。
ところで、お子さんの後ろ姿を見て、「ん? ウチの子ちょっとO脚???」と感じたことはありませんか?
今回は、赤ちゃんのO脚とビタミンDの関係について調べた研究についてご紹介します。

【たいていの赤ちゃんはO脚】

たいていの赤ちゃんはO脚気味で、両脚のひざが離れているのが普通です。これは「生理的O脚」といって、1歳から2歳くらいの赤ちゃんではごく当たり前のことで、けっして病気ではありません。
成長するにつれて自然に脚の形は変わり、生理的O脚も改善していきます 1) 。

これに対して「病的O脚」と言われるのは、体に起こったなんらかの異常が原因で起こるO脚です。変形が進むと痛みが出たり、歩き方がおかしくなったりすることもあるので治療が必要です 1) 。子どもの脚の変形を起こす病気のひとつが「くる病」です。くる病は、主にカルシウムやビタミンDの不足によって起きる病気で、丈夫な骨が作られず、その後の成長に支障をきたすことがあります 2) 。

骨に「カルシウム」が必要なことは、皆さんもよくご存知だと思います。骨にカルシウムが取り込まれるために欠かせないのが「ビタミンD」です。もしビタミンDが不足すると、カルシウムが骨に取り込まれなくなり、丈夫な骨が作られなかったり、変形したりすることがあります 3) 。

このたび、順天堂大学の坂本優子准教授らのグループは、病的ではない「生理的O脚」の赤ちゃんのビタミンDについて、詳しい解析を行いました。その結果、自然に起こる「生理的O脚」でも、ビタミンDが不足気味であることが明らかになりました。

【「生理的O脚」でもビタミンDが足りないの?】

食べ物から吸収したビタミンDは、体内で「活性型ビタミンD」に変わります。活性型ビタミンDは骨や腸、副甲状腺などのカルシウムの調節に重要な役割をしています 3) 。

坂本准教授らは、血液に含まれるビタミンDの量を、「O脚ではない赤ちゃん」と「生理的O脚の赤ちゃん」で比べました。その結果、生理的O脚の赤ちゃんでは、そうでない赤ちゃんよりもビタミンDが少ないことがわかりました。
また、生理的O脚の赤ちゃんのほうが、「くる病」の人に特徴的な物質(副甲状腺ホルモン、アルカリフォスファターゼ)を多く含むこともわかりました。これらの結果から、生理的O脚は決して病的なものではないものの、ビタミンDが不足気味であり、骨のカルシウム代謝に影響している可能性が示されました。

【ビタミンDを積極的に増やす努力を!】

骨を丈夫にするためにはカルシウムだけでなく、ビタミンDを積極的に摂る必要があります。ビタミンDを多く含む食べ物は、サケ、サバ、イワシなどの魚、卵黄、キノコなどです。

さらに、体内のビタミンDを増やすために心がけたいのが「日光浴」です。皮膚にある分のひとつ(7-デヒドロコレステロール)は、紫外線を受けるとビタミンDに変わります4) 。

日本ではビタミンD不足の子どもが増加傾向にあります。その背景にあるのが「過剰な紫外線対策」です。直射日光を浴びすぎないよう、過剰に外遊びや日光浴を避けることで、ビタミンD不足の子どもが増えているそうです 5) 。
ビタミンDが足りないと、せっかくたくさんのカルシウムを取り入れても、骨の成長に役立てることができません。生理的O脚は病気ではありませんから特別な治療は必要ありませんが、今回の研究からわかるように、ビタミンDが不足気味です。

「ウチの子、ちょっと他の子よりO脚気味かな?」と感じることがある場合には、積極的にビタミンDを含む食べ物を取り入れたり、日光浴をしたりするとよいでしょう。
また、気をつけたいのが完全母乳育児の場合です。母乳にはビタミンDが少ないため、くる病予防のためにも、妊娠中からビタミンDを多く含む食品を積極的に摂ることをお勧めします 2) 。

ご紹介した論文
Physiologic Leg Bowing is not a Physiologic Condition but Instead is Associated with
Vitamin D Disorders in Toddlers.
Sakamoto Y et al. Calcif Tissue Int. 2020 Feb;106(2):95-103.
順天堂大学プレスリリース
https://www.juntendo.ac.jp/news/20200204-01.html

参考文献
1) 日本整形学会
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/bowleg_and_genu_valgum.html
2) 日本内分泌学会
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=87
3)『標準整形外科学』第11版 内田淳正 監修 医学書院 2011
4)『栄養機能化学』第3版 栄養機能科学研究会 朝倉書店
5)Vitamin D–Deficient Rickets in Japan. Ito M et al. Global Pediatric Health 2017
https://doi.org/10.1177/2333794X17711342

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