春の芽吹きを楽しむランチと、じゃがいもの植え付け体験記

食について

4月を目前にした「ぼち農」さんには春の野菜が花盛り。おめでたい名前で注目の中国野菜「祝蕾(しゅくらい)」など、あれこれ実食してきました。さらにじゃがいもの植え付けも体験!

妊娠・授乳期に心がけたい、野菜たっぷり健康的な「産育食」生活。
連載「ぼちぼち農園さんの野菜ごはん」では、野菜が育つ畑と、そこで働く人の食卓を、野菜ソムリエが訪ねます。
近ごろ野菜不足かな?なんて人も必見!知られざる野菜の魅力いっぱいです。

ぼちぼち農園さんのこと


潮屋健太郎さん(左)と涼子さん(右)

兵庫県丹波市にて、農薬・化学肥料不使用の野菜作りに取り組む潮屋さんご夫妻。「月とみのり」の産育食に、たくさんのヒントを与えてくれるパートナー農家さんです。2011 年にこの地に移住して以来、野菜作りだけでなく、天然酵母パンや自家製味噌にいたるまで、手作り生活を実験&実践中。

HPhttp://bochinou.com/

訪ねる人 仲田友梨
日本野菜ソムリエ協会認定ジュニア野菜ソムリエ
みらいたべるスタッフ
産育食レシピ開発に関わりながら、野菜のスペシャリスト目指して日々勉強中!

大いそがしの春の序章

季節が冬から春になり、日が長くなってくると、潮屋さんご夫妻の起床時間は自然と早くなります。

「目覚ましを使わなくても、今の時期だったらだいたい6時に起きて活動開始です。
午前中にその日出荷するものを収穫していると、あっという間にお昼になってしまう」

と話すのは健太郎さん。
青々した葉物が少ない端境期がようやく終わり、大いそがしの季節が始まりを告げようとしています。

「去年の夏から気候がずっと悪く雨が多くて、土が乾かなかったので、畑を耕したくてもなかなか耕せなくて…。土がどろどろだと畝も立てられないから、ようやく先日乾いてきた土を耕して畝が作れたのは本当にうれしくてほっとしました。これでやっと種も蒔ける。種を蒔くのはやっぱり楽しいです」。

市場に多く流通しているF1 種(人工的に交配された一代限りの品種で栽培効率が高いとされる)ではなく、できるだけ本来の野菜の味と姿をとどめた在来種にこだわり、農薬や化学肥料を使わない栽培に取り組んでいるぼちぼち農園さん。
在来種は芽生えのタイミングもバラバラなため、芽が出るまでは不安。
忘れた頃に芽が出てほっと胸をなでおろすこともたびたびとか。

春の芽吹きがあちこちで花盛り

【祝蕾(しゅくらい)】
おめでたい名前のこの中国野菜。脇芽(つぼみ)や葉を食べます。ほんのり苦みと甘みがあるつぼみは、生でも加熱してもOK。とくに天ぷらに最適です。

【チコリ】
フランス料理ではアンディーブの名でもおなじみ。緑のもの、紫のもの、斑入りのものなど、彩りも多様なチコリが育っていました。

【ソレル】
酸味のあるハーブで、スカンポなどの仲間。生でサラダに入れても、加熱してもOK。ヨーロッパではオムレツに入れるのがポピュラーとか。

【赤からし菜】
ベビーリーフはサラダの彩りなどに。ピリッとした辛みがあり、妊婦さんにうれしい葉酸も豊富だとか。

野菜ソムリエ(日本野菜ソムリエ協会認定ジュニア野菜ソムリエ)が注目!
産育食におすすめの旬野菜

アスパラガス

【アスパラガス】

土から頭を覗かせた姿は、みずみずしい透明感いっぱい!
葉酸、βカロテンが豊富で、アスパラに含まれるアスパラギン酸は疲労回復や免疫力アップが期待できるとされています。
産育食にぴったりの春野菜ですね。

ブロッコリー

【ブロッコリー】

葉酸たっぷりのブロッコリーは産育食のレギュラーメンバー。
葉酸のほかにはビタミンC も豊富。茎も食べられるので、固い皮はピーラーでむいてから調理するといいですよ。
茎のきんぴらで、繊維をたっぷりとるのはいかが?

クレソン

【クレソン】

実は、彩りを添えるだけじゃないんです、クレソン。
産育食で意識したい葉酸、鉄、カルシウムの3つがどれもたっぷり!
とても栄養価の高い野菜なんです。ピリッとした風味は食欲増進にも。
ぼち農さんのおススメは「クレソンと鮭のだし茶漬け」。
食欲のないときでもこれなら食べられそう!

さあいよいよ実食!本日の「ぼち農定食」

料理担当・健太郎さんの丁寧な仕事ぶりが光るランチに取材班メンバーも思わず感動!
春の芽吹きは、冬の間に体にたまった淀みを追い出してくれるかのよう。
手作りのゆず味噌やポン酢も絶品でした!

ひね鶏の酒粕漬け、蒸し野菜添え

ひね鶏の酒粕漬け、蒸し野菜添え

ひね鶏は赤毛瓜の漬物を漬けた酒粕にザラメなどを再利用して漬け込み。表面をさっと焼いてから蒸します。上に野性味豊かなクレソンをたっぷり添えて。蒸し野菜に使ったのはプンタレッラ、祝蕾、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ。手作りゆず味噌やポン酢でいただきます。

丹波黒豆

丹波黒豆

一晩水に浸して蒸し上げ、塩をふるだけ。おせちの黒豆とはまた違う歯ごたえと素朴な味わいで食べ飽きません。

ソレル入り卵焼き 

ソレル入り卵焼き 

ソレルは生のまま刻んで入れて卵焼きに。後味に清涼感が漂います。

ぼち農サラダ

ぼち農サラダ

小松菜、タァツァイ、チンゲン菜の菜の花、スイスチャード、ソレル、チコリー、チコリーブリーゼなど畑の恵みいっぱいのサラダ。手作りマヨネーズにマスタードとディル、塩こしょうを混ぜて添えます。

宮古島黒小豆ごはん

宮古島黒小豆ごはん

黒小豆は一晩水に浸して沸騰するまで下茹でし、そのまま冷まして煮汁ごと米と炊きます。

雪の下とねぎのお味噌汁

雪の下とねぎのお味噌汁

ねぎと裏庭でとれる野草・雪の下は下茹でし、味噌汁を注いで最後にセリを散らします。

赤毛瓜の酒粕漬け・いかなごの釘煮

赤毛瓜の酒粕漬け・いかなごの釘煮

琉球野菜の赤毛瓜を、酒粕に2 年越しで漬け込んだお漬物は、芳醇な味わい。いかなごの釘煮は、阪神・淡路地方の家庭で作られてきた新子を使った常備食で、春の風物詩です。

金柑コンポート

金柑コンポート

金柑は近所の農家さんからのいただきもの。酒粕焼酎で作った梅酒と水を1 対1、そこへ黒の粒胡椒、粗糖、純米酢を少量入れて火にかけ、種を取った金柑を入れて落し蓋をし、弱火で20 分くらい煮ます。

ごちそうさまのあとは…本日の農作業「じゃがいもの植え付け」

午後からは「シェリー」「とかちこがね」という2種類のじゃがいもの植え付けへ。
種いもは2等分に切って家の軒先で数日かけてよく乾燥済み。
まずは健太郎さんが畝の中央部に手際よくくぼみを掘っていきます。

その後メジャーの目盛を頼りに、約25 ㎝間隔で種いもを置いて。
さらに後を追いかけるようにイモとイモの間にひと握りずつ肥料を置いていきます。
「うちが使ってる肥料は、一番搾りごま油の搾りかすだけ。すごくいい匂いするでしょう」と涼子さん。
すべての種イモと肥料を並べ終えたら、鍬を使って土をかぶせます。約20キロの種イモを植え付け終わるまで小一時間。
「いま植えたイモが収穫できるようになるのが6月中旬から7月にかけて。じゃがいもは品種ごとに貯蔵性が違っていて、収穫後早く食べなくてはならないもの、長く保存できるものがあるので、うまく使い分けます」。
じゃがいもひとつとっても、畑をうまく繰り回しながら5種類以上の品種を育てています。
中腰での植え付けや鍬さばきは、慣れない取材斑にはけっこう大変ですが、雲ひとつない晴天の下、無心になって土と向き合う気持ちよさは格別でした。夏の収穫が今から楽しみ!

土から生えている野菜たちのピカピカ輝くみずみずしさは感動ものでした!
畑の恵みをモリモリいただいてパワーチャージも完了。
野菜がおいしく食べられる産育食レシピ、これから続々発信していきますね。
次回は夏の畑からお届けします。どうぞお楽しみに!

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