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【産育食ラボ】妊娠・出産の前に骨密度検査を受けましょう! ~出産後の骨折に関する研究から~

産育食ラボからレポートです。
女性にとって気になる「骨密度」。出産や授乳によって大きく変化するホルモンバランスとの関係は?今回は出産によってお母さんの骨にどのような変化が起こるのか、最新の研究をレポートします。


高齢になると、とくに女性はホルモンバランスの変化によって骨がもろくなり、骨粗しょう症などを起こしやすくなります。しかし、ホルモンバランスは妊娠や出産によっても大きく変わります。出産によってお母さんの骨にはどのような変化が起こるのでしょうか?

この度、慶応大学の宮本健史特任教授らのグループは出産後の骨折に関する研究を行い、学際的総合雑誌『Scientific Reports』に発表しました。

研究ではまず、出産後3カ月以内に背骨を骨折した患者さんについて調査を行いました。その結果、これらの患者さんの骨密度は、高齢者の骨粗しょう症患者さんに相当するほど著しく減っていることがわかりました。いずれの患者さんも母乳で育児をしていたことから、母乳育児と骨折との関係についてさらに詳しい研究を行いました。

 

【出産によって骨の代謝は促進される】

研究は79名の妊婦さんを対象に行われました。この中に、出産後に骨折した人はいませんでした。

出産の1カ月前と出産の1カ月後で、骨成分の吸収に関わる物質の変化を調べたところ、出産後のほうが増えていることがわかりました。次に、骨の形成に関わるBAPやP1NPという物質についても調べたところ、出産後のほうが増えていることが分かりました。

この結果から、出産によって骨の吸収や形成が促されることが示されました。

 

【母乳育児と骨代謝との関係は?】

次に、上記の79名を、出産後に完全母乳育児をしているグループと、そうでないグループの2つに分けました。両グループで骨の代謝に関わる物質の量を比較したところ、完全母乳のグループではそうでないグループよりも、骨の成分の吸収に関わる物質が多いことがわかりました。しかし、骨の形成に関わる物質は、両グループでそれほど大きな違いがみられませんでした。

以上の結果から、完全母乳育児では骨の吸収度が上がるものの、骨の形成に関しては、完全ミルク、または母乳・ミルク混合育児のグループとの差がないことがわかりました。

結論として、この研究では、完全母乳育児と出産後の骨折との関連性は見られませんでした。

 

【育児期の骨折予防のために、妊娠前から骨密度検査を受けましょう】

今回の研究では、出産後の骨折と完全母乳との関係は示されませんでした。むしろ、完全母乳のほうが骨の代謝が増える傾向が見られました。

この研究の最初に行った調査からは、出産後に骨折した人の骨密度が著しく低いことがわかりました。妊娠や出産による骨の代謝の変化に加えて、出産後の育児では腰に負担がかかります。もし、妊娠前から骨密度が低下していた場合には、とくに骨折しやすくなるのではないかと、この論文の中では推測しています。

出産後、日に日に大きくなる赤ちゃんを抱っこすることで、腰痛を起こすお母さんは少なくありません。論文では、妊娠前から骨密度検査を受けて、育児に耐えられるように骨の状態を整えておくことを勧めています。

赤ちゃんを意識したら、まずはご自身の健康を見直すことが大切です。そのひとつとして、妊娠前に骨密度の検査を受けてみましょう。もし、骨密度が低下しているようであれば、適切な治療を受けることはもちろんのこと、食生活や運動習慣を見直して、妊娠出産に備えましょう。

 

ご紹介した論文
Changes in bone metabolic profile associated with pregnancy or lactation.
Miyamoto T et al. Sci Rep. 2019 May 13;9(1):6787.

慶応義塾大学プレスリリース
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2019/5/14/190514-1.pdf

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